大きな地球儀が生まれるまで
ストリートテーブルには、大きな地球儀があります。2月現在は会場の入口に鎮座していて、ちょっとしたオブジェのようになっているこの地球儀について、誕生までのストーリーをご紹介します。
きっかけは神戸大学准教授の槻橋修さんとの会話から。2020年の11月ごろ、私たちは会場をどう彩っていくのか、ブレインストーミングをしていました。
「昔からもっているアイデアなんだけれど、大きな地球儀があったらいいなって思うんですよね。年配の人と話をするときに、お互いの話をするよりも『ここに行ったことがあるんや』なんて、地球儀を指さしながらだと会話が弾むはず。」(槻橋さん)
会場のなかで交流を生みだすには、とっても面白いアイデアだと思いましたが、どうやって大きな地球儀をつくるのかってことについてはその場では決まらず、今後の宿題となりました。
この宿題が頭から離れず、「どうやって作ろうかな」と考えていたある日、別のプロジェクトで校舎解体中の小学校に来てみたところ、、、
倉庫の中から、大玉転がしのための大玉が2つ出てきたのです。見た瞬間から、地球儀のベースにしか見えなくなりました。なんたる偶然。
さて次は、大玉という基盤の上にどのように地図を描いていくか。
その点については吉崎かおりさん(御舟かもめ)から、廃棄された古い海図を細かく切った上で貼り合わせてみてはどうか、というアイデアを頂きました。古い海図を入手できるところが神戸にはあって、かなり安く買えるのだとか。
そうと決まれば、まずは大玉を現場の三ノ宮に持ち込み、地図の下図を書くところからスタートです。慎重に、慎重に。
次に下図に沿って、小さくカットした海図をぺたぺた貼っていきます。海は海図の海部分を使って青い色で、陸地は海図の陸部分を使って黄色い色で。
ぺたぺた貼ったあとは、全体の防水性を高めるためにクリア塗装。なにせ大きすぎて雨のときに片づける場所がありません。雨ざらしに耐えることを祈りつつ、クリア塗装で作業は一旦フィニッシュです。
地図をいったんバラバラにしてから地球儀をつくっていますので、例えば神戸のあたりの本州に貼ってある黄色い地図片も、世界のどこかの陸地だったところ。バラバラになった世界の海図が、再びまとまって地球儀ができていくって、何かロマンチックだと思いませんか。
原稿執筆の2月時点では、会場入口に据え置かれているこの巨大地球儀ですが、ストーブを片づける時期になれば、会場内に転がそうと思っています。はじめのアイデア通り、会場を訪れる人の交流ツールにしたいのです。
そのためには、あと一手間、転がしても地図がはがれ落ちないような加工が必要です。スタッフはいま、その最後の知恵を振り絞っているところです。
ストリートテーブルの会場にある地球儀は、こんなストーリーから生まれました。ぜひ会場にお越しの際は、地球儀も見ていってくださいね。
文章:村上豪英