リユースへの挑戦
ストリートテーブルは期間限定のプロジェクト。9ヶ月半の長期にわたって運営するとは言え、終了の時が決まっているのは間違いありません。
期間終了後に大量のゴミを出して終える羽目に陥らないよう、はじめからどこかで使われていたモノで会場を構成し、終了後もできる限り、また他のどこかで誰かに使われるように努めたいと思いました。
このため、会場にはリユースのモノがあふれています。
譲って頂いたものも多いですから、コストは抑えられているかもしれませんが、お願いに行ったり運んだりと、手間はそれなりにかかります。でも誰かの想いが詰まっていて、駅前のざっくりした空間にも無理なくマッチする、そんなリユースをめざした挑戦の一部を紹介します。
まずはこのテーブル。141年の歴史を閉じて廃校になってしまった市立湊山小学校の理科室で使われてきた、実験用のテーブルです。
ちょうどストリートテーブルの8つのフードスタンドの前に、8つのテーブルが必要だと思っていたころ、ぴったりのサイズと数の実験机に、偶然出会いました。
だからこのテーブルには、コンセントやガス栓がついていた跡が残っていて、天板にもなんだか薬品をこぼしたようなうっすらとした跡が残っています。
ちなみにトイレに行く通路の引き戸も、湊山小学校の教室の扉をリユースしたもの。昔の学校ならではの温もりを、感じてみてください。
また、イスはほとんどリユースしたもの。市内の私立学校より、ご厚意でいただいたこのイスや、、、
個人の方から頂いて来たこの立派すぎるカウンターチェアや、、、
ものづくり学校から頂いたこのイスなど、本当に多くのみなさまにイスを譲っていただいて、会場でリユースしています。
ちなみに、イスの座面がやわらかいウレタンのままだと雨を吸ってしまうため、この写真のようにペンキで塗装した板の座面に貼り替えて使っています。
ハイチェアだけは譲って頂く数では足りず、ポートピアホテルさんからお借りしていますが、立派なふかふかの座面を取り外し、過酷なアウトドア環境に耐えられるように板の座面に貼り替えました。
会場のステージ中央に掲げたStreet Tableのタイトル看板もリユースです。淀川や海辺に漂着した木材や漂着物に加え、子どもの成長とともに使わなくなった懐かしいおもちゃでロゴができています。
会場内にめだつ四角形の枠組み”フレームグリッド”に収納されたおもちゃも、全部リユース。この会場を設営するころ、いろんな方に譲って頂いて、今では会場を装飾しつつ、時にはキッズコーナーで子どもたちに遊んでもらっています。
そもそも、工事用の仮設資材を使って会場をつくるのもリユースの観点からです。普段は工事現場の足場をつくるために使われるこの仮設資材は、ストリートテーブル終了後はそのままのカタチで、また工事現場のために使うことができる優れもののリユース材です。
少し無骨な印象もありますが、ビルを解体した後のこの会場には、しっかり溶けこんでいますね。
その他にも、会場内にはリユースしたモノがあふれています。
リユースへの挑戦は、ゴミを減らすだけではなく、これまで使ってこられた人びとの想いをストリートテーブルに集め、またこの会場の記憶と想いをモノに込めて次に使う人びとに繋いでいく行為です。
ちょっとロマンチックすぎるかもしれませんが、そんなストーリーを描いて、これからもできる限りリユースを使って会場を育てて行きます。
ストリートテーブルの会場では、ぜひそんなリユースへの挑戦に目を留めて頂ければ幸いです。
文章:村上豪英
(追伸:とは言え、例えばフードの容器など衛生上の観点からどうしても使い捨て容器を使ったり、照明などどうしてもエネルギーを使ったりして、会場を運営していることも事実です。環境にインパクトを与えながら運営していることを、常に忘れずに、これからも改善策を考えていきます。)